内地との環境の違いにビックリ!離島医療の現状をご紹介します。
離島の医療にはたくさんの課題が…
離島に勤めるようになって驚いたことはたくさんありますが、中でも特に驚いたのが“内地との環境差”でした。
離島の医療はとうてい、内地の総合病院と同じレベルには至っていないのです。
正直、前の病院では考えられないような業務内容が当たり前のようにまかり通っていました。そして、それは今でも変わりません。もちろん、病院にもよると思いますが、私が“早急に改善しなければならない”と感じている問題について紹介したいと思います。
これから離島、へき地に行こうかと考えている看護師さんがいれば、是非ともこういった現状を知った上で赴いて頂きたいです。
想像と現実のギャップに悩むことなく、離島ナースの職務を全うするために現状を知っておくことは有益だと思います。
離島&へき地でまかり通っている驚きの現状
病院内で装着するマスクが、コスト削減のために自前になっていることにも驚かされましたが、実際に業務に入るともっと驚くことがたくさんありました。たぶん、本土の病院で働いている看護師さんにはにわかに信じられないことばかりです。
病院側で白衣のクリーニングはしてくれません…。MRSAやらセラチア菌、緑膿菌などを保菌している患者さんもいるはずなのに、自分で普通に洗濯するんです。正直、家に持ち帰るだけでも抵抗があった私は、最初これだけで心が折れそうになりました。
普通の注射針に比べて値段が高いので、コスト削減のために翼上針をあまり使いたくないようです。何でもかんでも二言目にはコスト削減…。まぁ、へき地や離島の医療機関がどれだけ経済的に厳しいかというのがよく分かるエピソードですね。
これはさすがに離島に慣れてきた今でも“ありえない…”と思っています。体液や血液に触れる可能性がわずかでもあるなら、感染の不安があるので手袋をするべきなんですが。これもディスポ手袋にかかるコストを削減するためだそうで。
ちなみにタオルは一般の洗剤で洗濯しただけのもので、これを1日中使います。1日で1枚って一般家庭じゃないんだから…と思いましたが、これは普通にまかり通っているのです。
もっとも本土でも民間病院だとこういったケースは時折あるようですが、私は大学病院に勤務していた時期があったのでカルチャーショックもいいところでした。大学病院、県立や市立の病院に勤めている看護師さんは本当に驚かれると思いますよ…。
離島医療だからこその工夫も見られます!
もちろん、こういった“限られた物資を活用する”という態度が、すべてにおいて悪いわけではありません。逆に「へぇ~すごいなぁ」と思わず唸ってしまった例もありました。
使わなくなった衣服なんかを皆が持ち寄って、使い捨てお尻ふきを作っていたんです。衣服を着れば、1着からそれなりの分量が作れ、どうせ使い捨てなので衛生的にも大きな問題はなさそう。
手に入らないものは入らないと受け入れ、その場にあるもので解決しようという姿勢から学ぶところも多いです。何でしょう、古き良き昭和を思い出すと言いますか。
他にも休憩室の物品は看護師たちで持ち寄ったり、何だか“しっかり協力しているんだ”というのを実感できる部分もたくさんあるんです。
改善するべきところも多くありますが、やはり離島や僻地でしか味わえない連帯感のようなものもあって、感慨深いものですよ。