離島で働く医師や看護師などの人材を確保するための改善策とは?
どう確保する?離島の看護師&医師
実のところ、医師や看護師の中で“人生の中で1度くらいは離島や僻地で働いてみたい”と考えている人は相当数にのぼるよう。
これにはDr.コトー診療所の流行なども影響したかもしれません。
ただ、実際に離島へ行くかどうかとなると全く別問題。“離島で働いてみたいですか?”というアンケートに“YES”と答えるのと、実際に行くのには大きな開きがあるわけです。
本気で離島行きを考え、面接を受けるまで漕ぎ着けた人材にしても“そこで条件交渉して折り合い、実際に赴任する”となると、やはりまた大きなハードルを1つ超えなくてはなりません。
そこで、ここでは実際に離島に赴任する医師、看護師が少ないのは何故なのかについて考えてみたいと思います。
看護師や医師の側にある問題
もっとも大きな問題は、家族に関する問題です。医師であれば、子供の教育を考える上で離島では不安があるでしょうし、そもそも家族が反対するケースが多いのは自明の理です。看護師の場合も既婚ならまったく同じ状況ですし、未婚の場合には“離島で働くと、結婚の機会を逸するのではないか”といった不安がつきまとうでしょう。
いくら離島医療に貢献したいと思っても、自分自身の人生設計が崩れるというリスクまでは抱えたくないというわけです。もちろん、それは当たり前の感情ですから、誰を責められるものでもありませんが。
また、離島で働き続けるとプライマリ・ケアにしか携われない可能性があります。患者には重症の方もいますし、医師や看護師のほうにも充分なスキルがあるとは思いますが、現実には設備の問題で1次医療が関の山という場合が多いです。そうなると、スキルアップやキャリアアップという言葉とは無縁の人生を送ることになりかねません。
こういった問題を踏まえると、なかなか離島への赴任に踏み切れない方がいるのもやむを得ないでしょう。
現行の離島医療システムの問題
例えば自治医科大学が、卒業後にへき地医療に携わることを条件に学費を実質免除していることは有名です。しかし、一見すると“素晴らしい取り組み”に感じないこともありませんが、ここには大きな問題が隠れています。
要するに、政府が設立した公的側面の強い医大みずから“1000万以上の学費を免除してあげるんだから、僻地や離島に追いやっても良いよね”という意識があることを認めているわけで、率直にいえば“離島や僻地医療にいくということは、お金と引き替えに課せられるペナルティである”と宣言してしまっているのと同義です。
このやり方が“離島診療所では満足な医療など出来ず、大病院に行くほうが医師として正しい選択である”という認識を広めてしまったといえます。
そして実際、離島の診療所に1人で赴任しただけでは、いくら優れた医師であってもできることは限られています。プライマリ・ケアを行いつつ、トリアージを行って重症患者を2次医療施設に送るしかないのです。これでは離島で働く医師や看護師が増えるわけがありません。
この問題を解決するためには、1箇所で働いていた医師や看護師をチームとして離島に派遣することが一番でしょう。すでにコミュニケーションも取れている人同士であれば診療もスムーズですし、まったく新しい環境に飛び込むという不安も緩和されます。
実際に離島で働く医師や看護師を増やしていくためには、こういったシステム面の改善も必要なのです。